1. 花蜜が、はちみつになるまで
わたしたちが普段口にしているはちみつは、花の蜜をそのまま集めたものではありません。
働きバチは花から花へと飛び回り、花蜜を集めて巣へと持ち帰ります。はちみつづくりは、花蜜を集めたそのときから始まっています。巣へと運ばれる間にも、ミツバチの体内で酵素が加わり、花蜜は少しずつ変化していきます。
もともと花蜜は、糖分とたっぷりの水分を含んでいます。花蜜に含まれる糖のひとつが「ショ糖」です。
ミツバチの酵素が加わると、このショ糖は「ブドウ糖」と「果糖」へと分解されます。どちらもショ糖より小さな単位の糖で、吸収しやすくミツバチがエネルギーとしてすぐに利用できるかたちなのです。
そうして巣に戻ってからのはちみつづくりで、もうひとつ大切なことが水分を減らすことです。
持ち帰った蜜は働きバチから仲間へと受け渡され、その過程で少しずつ水分が減っていきます。さらに巣の中では、ミツバチたちが羽を動かして風を送り、蜜に含まれる水分を飛ばしていきます。
水分が減るにつれて、さらりとしていた花蜜は糖度を増し、濃く、とろりと変化していきます。
「糖をより小さな単位へと変えること」「水分を減らすこと」この二つが、花蜜をはちみつへと変えていきます。

2. 自然の時間に合わせる、ということ
巣房に蓄えられた蜜は、その後も水分を減らしながら、ゆっくりと熟成していきます。
十分に熟成し、糖度が80度近くまで高まると、ミツバチは巣房を蜜ろうで塞ぎます。これが「蜜蓋」です。ひとつひとつの巣房に蓋がされた姿は、ミツバチが時間をかけてはちみつをつくりあげたしるしです。
この蜜蓋がされるまで待ち、十分に熟成したはちみつが、わたしたちが「完熟はちみつ」と呼んでいる、本来のはちみつの形です。この完熟はちみつには、ビタミンやミネラル、抗酸化成分などの栄養素が180種類以上も含まれており、抗菌効果も高いことから、古くから天然の滋養食として親しまれてきました。ミツバチが時間をかけてつくりあげたはちみつは、わたしたち人間にとっても、自然からいただく豊かな恵みなのです。
はちみつは、いつも同じ味、同じ色で仕上がるわけではありません。ミツバチは巣箱を中心におよそ2kmの範囲を飛び、その時、その場所に咲く花を訪れます。どんな花が咲くのかは、季節や天候、その土地の環境によって少しずつ変わるもの。その蜜源植物の種類によって、風味の違いを楽しむことができますし、同じ種類の花から採れたはちみつでも、その年の気候や環境によって、色や香り、味わいに違いが生まれます。
いつ採れるのかも、どんなはちみつになるのかも、自然とミツバチに委ねる。
わたしたちは、その時間を待ち、そのとき生まれたものを受け取ることを大切にしています。

3. できるだけ、そのまま届ける
完熟したはちみつを採ったあとも、わたしたちが大切にしているのは、ミツバチがつくりあげたそのままの味わいを、できるだけ損なわないことです。
はちみつは、高い温度に長時間さらされると、色や香り、風味が変化し、含まれている酵素や栄養素にも影響します。そのため、輸送には低温コンテナを使い、保管時は室温20℃を維持。瓶に充填する際にも45℃を超えないよう、温度を管理しています。
ろ過も最小限にとどめています。採蜜の際に入る大きなゴミなどの不要なものは取り除きながら、目には見えないほど微細な花粉など、本来はちみつに含まれている豊富な栄養素を必要以上に取り除かないようにしています。
このようにわたしたちが温度や工程を徹底して守るのは、長年養蜂を続けるなかで培ってきた「はちみつは、人がつくるものではなくミツバチがつくるもの」という想いがあるからです。
一方で、世界では手が加えられたはちみつが流通することが増えてきました。本来含まれない糖類が加えられていたり、産地や由来を分かりにくくする偽装が行われたり、過度な加熱やろ過によって、はちみつがもともと持っていた成分が失われてしまうこともあります。
そんな今だからこそ、わたしたちは、はちみつ本来の姿を守りたいと考えています。
わたしたちが考える「本物のはちみつ」は、決して特別なものではありません。ミツバチが時間をかけて熟成させた、はちみつそのもののことです。
その恵みに必要以上に手を加えず、そのままお届けする。
この考え方は、自然からいただいたものをまるごと活かす、アピテラピの「まるごと、そのまま」というものづくりにもつながっています。
